自律訓練法は、短い言葉を心の中でくり返し、からだの感覚に注意を向けることで、ゆったりとした状態を自分でつくる練習法です。その由来とやり方、そして、あなたのために書かれる催眠セッションとの関係を紹介します。
右腕が重たい
仕事の緊張が抜けず、以前習った自律訓練法の感覚を取り戻したい人のために書かれたセッション。
右腕が重たい
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では、これから、公式を、心の中で繰り返していきます。わたしが先に言いますので、あなたは、心の中で、同じ言葉を、ゆっくりなぞってください。感じようと、がんばる必要はありません。言葉を置いておくだけで、体は、ひとりでに、応えはじめます。それが、自律訓練法の、いちばん大切なところでしたね。
気持ちが、落ち着いている。気持ちが、落ち着いている。気持ちが、とても、落ち着いている。
そうです。落ち着こうとしなくても、この言葉が、ここにあるだけで、十分です。
では、右腕に、注意を向けます。右の肩から、ひじ、手首、指先まで。
右腕が、重たい。右腕が、重たい。右腕が、とても、重たい。
気持ちが、落ち着いている。
右腕が、布団のほうへ、沈んでいくかもしれません。あるいは、まだ、何も感じないかもしれません。どちらでも、いいのです。重さは、いつも、少し遅れて、やってきます。
右腕が、重たい。右腕が、ずっしりと、重たい。
今度は、左腕です。左腕が、重たい。左腕が、重たい。左腕が、とても、重たい。
両腕が、重たい。両腕が、重たい。両腕が、ずっしりと、重たい。
気持ちが、落ち着いている。
自律訓練法を考案したのは、ドイツの精神科医ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツです。催眠療法を行っていたシュルツは、催眠に入った人たちが、その状態をほとんど同じ言葉で語ることに気づきました。まず手足が重くなり、次に温かくなる、と。
それなら、重さと温かさを静かに思い浮かべるだけで、催眠者がいなくても同じ状態に入れるのではないか。シュルツはこの考えを1926年に発表し、1932年に著書『自律訓練法』(Das autogene Training)にまとめました。つまり自律訓練法は、体系化された自己催眠です。
日本には1950年代に紹介され、その後、心身医学や臨床心理の分野で広く用いられるようになりました。現在では医療機関のほか、学校やスポーツの現場、社会人向けのストレスケアの講座などでも教えられています。
基本となる標準練習は、背景公式と六つの公式からなります。一つの公式を一、二週間かけて身につけ、前の公式に順に加えていきます。言葉は声に出さず、心の中でゆっくりとくり返します。力を入れて「そうさせる」のではなく、そうなっていく感覚を、ただ受け身で見守るのがこつです。
姿勢は、あおむけに寝る仰臥姿勢、背もたれのある椅子に深く座る安楽椅子姿勢、普通の椅子に浅く腰かけて上体を少し前に傾け、腕を太ももにあずける単純椅子姿勢の三つが基本です。一回数分、一日に二、三回が目安です。
練習の最後には、からだを日常の状態に戻す消去動作を行います。両手を強く握って開く、両肘を曲げ伸ばしする、大きく背伸びをする、深呼吸をしてから目を開ける。これを省くと、だるさやぼんやりした感じが残ることがあります。眠る前の練習で、そのまま眠りたいときだけは省いてかまいません。
標準練習をひととおり身につけるには、毎日続けて数か月かかるのが普通です。はじめは専門家の指導のもとで学ぶことがすすめられています。心身の状態によっては向かない場合もあるため、治療中の方や、気持ちがひどく不安定なときは、まず医師やカウンセラーに相談してください。
二つの方法は、同じ観察から出発しています。からだは、思い浮かべたことに応える、ということです。どちらも、起きていながらからだが深く休んでいる、眠りと覚醒のあいだの状態へ導きます。重さ、温かさ、呼吸を通っていく点も同じです。
違うのは方向です。シュルツは催眠を誰にでも同じ形にしました。同じ公式を、同じ順番で、身につくまで練習する。アメリカの精神科医ミルトン・エリクソンは逆の道を選びました。決まった公式ではなく、間接的な暗示やイメージ、物語を、いま目の前で聞いている一人のために組み立てたのです。
自律訓練法では、語りかけるのは自分自身です。エリクソンの催眠では、まず聞いてくれる声が語りかけます。
Quiesは自律訓練法の講座ではなく、公式を教えることもありません。エリクソンの考え方にもとづく、あなたのための自己催眠です。はじめに、いまの気持ちについていくつか質問があります。言葉を選ぶ、スライダーを動かす、書きたければ一文を書く。それをもとに、この瞬間のためのセッションが書かれ、声で読み上げられます。同じセッションは二度とありません。
自律訓練法を続けている方なら、なじみのある感覚に出会うはずです。広がっていく重さ、ゆっくりになる呼吸、考えが遠のいていくあの瞬間。違うのは、語りかけてくれる声があり、あなたは何もくり返さず、何かをうまくやる必要もないことです。
どちらかがどちらかの代わりになるわけではありません。自律訓練法は、どこにでも持ち歩ける技術です。書かれたセッションは、自分で練習する気力のない夜に、誰かに導いてほしいときのためのものです。
いまのあなたのために書かれるセッションを。
登録は不要です
Quiesはリラクゼーションと自己探求のためのウェルネスツールです。医療機器ではなく、いかなる疾患の診断・治療・治癒も行いません。心の危機にあるときは、専門家にご相談ください。